「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」1 ブロードウェイミュージカル作品(2021年、主催:アミューズ、シーエイティプロデュース)、そして、日本のラティーノ

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今春公演された、ブロードウェイミュージカル作品「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」

(2021年、主催:アミューズ、シーエイティプロデュース)の公演パンフレットに解説を書かせていただきました。途中、非常事態宣言の発出により一部の公演が中止となり残念ではありましたが、私は無事に公演を拝見することができました。

本作品の舞台となっているニューヨーク市のワシントンハイツは長年暮した場所で、大学時代から調査研究対象としてきたところでもあります。「IN THE HEIGHTS」のストーリーで設定されている時代も、まさに私が居住していた時と重なるので、作品を鑑賞しながら、役者のセリフ、舞台で再現されている街やストリートの様子、人びとの雰囲気、音楽・ダンスなどを通して、当時の様子が鮮明に思い出されました。

日本では、ラティーノたち(スペイン語圏の人、自分や先祖がスペイン語圏出身である人びとのこと)や彼らの文化について紹介されることがまだまだ不足していますので、ミュージカルや今夏に公開されている映画(2021年7月末から日本でも公開された作品。ミュージカルが映画化された)などを通して、日本社会のラティーノの人びとに関心を持ったり、ラティーノ文化や習慣に親しみを感じる人が増えるといいなと思いました。(このミュージカル作品は日本の大学生たちによってもよく公演されています)

実際、日本にも「ラティーノ」と呼ばれる人たちはいます。最大のラティーノ集団はペルー出身者やその子孫たちです。その他にも、コロンビア、アルゼンチンなどアメリカ大陸のスペイン語圏から来た、さまざまな人たちがいます。多くの場合、彼ら(や彼らの親たち)が日本にやってきたのは1980年代です。当時の日本経済は好調でしたので、雇用機会を見込んで移住してきた人たちが大勢いました。しかし、バブル経済が崩壊すると、失業する人が多くなり、また、外国人に対して不寛容な日本が住みづらかった、ということもあって、大勢の人びとが帰国してしまいました。ちなみに、中南米出身者としては、ブラジルから来た人びとが日本では最大の集団になります。一般的な定義によると、ポルトガル語を話す彼らはラティーノには含まれません。しかし、彼らの文化や習慣は、ラティーノたちのものと共通点が多くあります。たとえば、カトリック文化の強い影響、アフリカ大陸とヨーロッパ大陸と先住民のさまざまな文化要素がミックスした民間信仰、家族の重視、音楽やダンスが大好きなどといった点です。

これまで中南米出身の多くの人びとは米国の都市部に移住して、彼らが集まる新しい場所で、面白いカルチャーを作ってきました。とくに音楽やダンスの分野で注目を集めてきたと言ってよいでしょうね。 「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」 では、主にカリブ海のドミニカ共和国やプエルトリコ、ニューヨーク市で彼らが生み出したさまざまな音楽やダンスが楽しめます。

ブロードウェイミュージカル作品「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」(2021年、主催:アミューズ、シーエイティプロデュース)の公演時のパンフレットに掲載していただいた解説はこちら(↓)です。

【イン・ザ・ハイツ】全キャスト解禁リリース_解説三吉美加.pdf

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