相手の出身文化圏に関する予備知識 2

コンサルティング

米国の職場では、相手の心の負担にならない程度の、ちょっとしたギフトをあげたり、受け取ったり、という光景をよく目にします。あの案件でお世話になった人へ、プロジェクトを一緒に終えた同僚へ、大変な作業に取り掛かっている人へ、隣の新人さんへ、「出勤途中の花屋さんであなたが好きな花を見かけたから」「いつも行列しているチョコレートショップが空いていたから、自分のを買ったついでに買いました」といった具合に小さなギフトを渡します。食べ物やお花(1本でも!)であることが多いのですが、小さなインテリアグッズの場合もあります。おしゃれなキャンドル、タオル、ソープ、写真立て、置物、美術館に行った際に見つけたようなポストカードなども。クスっと笑ってしまうようなユニークなグッズなどももらった人との楽しい気分を共有できてよいですね。

 もし上司の家に招かれた場合は、断然、手土産はあった方がよいでしょう。上司の方が米国人なら会社での様子とはまったく違う、フレンドリーな様子に驚いてしまうかもしれません。米国の方は、ビジネスの場とプライベートをしっかりと区別する傾向があります。驚いたとよく聞くのは、上司の家に行ったとき、家のルームツアーが始まることや、キッチンで人が集まっておしゃべりすることです。上司のパートナーや子どもたちも一緒です。もしかしたら、上司がキッチンで料理を作っている最中かもしれません。旅行、趣味などの楽しい話が進みそうですが、仕事の話は話題になりません。ご存知の方も多いでしょうが、宗教や政治の話も避けましょう。

 一方、職場においては、会議が始まると、手短な挨拶の後、すぐに議題に入るのが欧米です。しかし、中東では、会議がこれからはじまるという場合も、ある程度の時間を挨拶やおしゃべりに費やすことが礼儀だと考えられています。ゲストは盛大な歓待をもって迎えられます。一旦、議論が始まっても、途中で人が入ってきて会議が中断という事態も起こりがちです。物事の優先従位が状況的に流動的に入れ替わります。

 世界全体でみると、ビジネスにおいても欧米式のやり方に倣う傾向が見られますし、個々の判断や価値観がありますので、伝統的な傾向はここでも参考までに知っておくとよいでしょう。職場に外国出身の方を迎える場合は、ここではどのようなやり方でやっていく、といったガイドラインを分かりやすく明示しておくとよいですね。

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